2018年10月01日

山の奥から哀愁を帯びたシカの声が響いてくる

 ここ何日か、山の奥から甲高い「イヤォ~~~~~~~~~~~ン」という叫び声が聞こえる。

 その声は、これまであまり聞いたことのない甲高さと長さである。

 どこか哀愁を帯びていて、愁いを含んだ余韻の残る声である。



 そう言えば、秋になると、発情期を迎えたオスジカがメスジカを求めて鳴くというのを聞いたことがある。

 どうやら、この辺りによく出てくるシカの鳴き声のようだ。




 昔は今以上に、ヒトとシカの暮らしが近かったとみえて、シカの登場する短歌も数多い。
 
 「夕月夜 をぐらの山に 鳴く鹿の 声のうちにや 秋は暮るらむ   紀貫之」や下の百人一首の中の歌も、よく聞く歌だ。
猿丸太夫.jpg



 昔は、自分の心持ちを投影できるように風流だったシカの声も、今では憎まれる対象というのは、何ともやるせない思いだ。

 この間も、ご近所さんの芋畑で、葉っぱをさんざん食べ散らかしていったと聞いた。

 ヒトの思いかたも、時代の移り変わりで仕方のないことなのか。




 この時期にシカの鳴く訳を調べてみると、メスを求めているだけでなく、他のオスを自分の縄張りに近づけないようにする意味もあるようだった。

 あの鳴き声にそんな勇ましい意味合いもあったなんて…。



 でも、どことなく淋し気なあの声を聞いていると、恋の相手を求めて鳴いているようにも、また明日にでも駆除されてしまいそうな我が身を憐れんで鳴いているようにも聞こえる。



 夜に聞くと、いっそう物悲しく聞こえてしまうのだろう。

 秋の夜は、何となく物悲しく、人恋しくなる季節である。

 


posted by よっちゃん at 19:56| Comment(0) | 自然 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする