そこで、田染荘で行われている収穫祭に行ってみることにした。
中世の面影を残す田園風景とは、どのようなものなのだろうか?
荘園米で作ったおにぎりをはじめとする物販も多数あるというので、期待しながら出かけた。
収穫祭の会場には十一時前に着いたのだが、いろんな食べ物を販売するお店からのおいしそうなにおいが立ち込めており、急に空腹感を覚えた。
そのため、早速新米で作ったおにぎりのパックと軍鶏汁を買い求めて食べた。
おにぎりは3種類(白米・豆ごはん・炊き込みごはん)入っていたが、どれももちもちとした食感でおいしかった。
軍鶏汁も、骨付きの軍鶏肉から味がよく出ており、薄味に仕上げてあったので、こちらもおいしかった。
デザートというわけではないが、甘味として「ふくいも」さんの「冷やし焼き芋」もたてつづけに完食し、まずはお腹が満ち足りた。
それから、きれいな稲穂が秋の日を受けて金色に輝いている田んぼを見たり、「案山子コンクール」の案山子を見たりして回った。
残念ながら、収穫祭会場前の田んぼはほぼ刈り入れが終わり、波打つ稲穂が輝く棚田の景観を見ることは叶わなかったが、それでも「田染荘展望台」まで上がって、田染荘の全景を見下ろしてみた。
「田染荘」は思っていたよりも狭かったが、田んぼの黄金色と森の緑が、澄んだ秋空の青に映えて、とてもきれいだった。
自分たちはたまに来て、「田園風景はいいもんだなあ」などと勝手なことを言っているだけだが、先人から代々受け継いできたこの田畑を、このままの姿で維持し続けてきたのは大変なことだったと思う。
我々は、この景観を守り続けてきた人たちのおかげで、今なお残る「豊かな自然」や国内でも貴重と言われる「生きた荘園遺跡」に出会えるわけだ。
秋晴れの一日。こんな自然が豊かでのんびりとした場所で過ごす休日は、とても気持ちのいいものだった。
十一月には、またここで、水田の畦道をLED照明で飾る「千年のきらめき」というイベントが企画されているようなので、それも味わいにぜひとも来たいと思う。