自分もその日かぎりの「店主さん」に名乗りを上げ、古本を売るつもりだからだ。
しかし、ただ古本を並べて売るだけでは芸がないし、無論それではお客さんも目を止めてはくれない。
お店のディスプレイなども自分で考えて売れる工夫をするというのが、この「一箱古本市」の面白みでもあるのだそうだ。
古本は少し前からある程度箱に入れていっていたが、その周辺のことには手をつけてなかったので、急いで準備を始めた。
しかし、初めてのことなので、なかなかはかどらない。
看板や本を紹介するポップなどを「ああでもない。こうでもない」と言いながら作っていたのだが、ふと事務局から送られてきた「店主マニュアル」の中にあった「独自のしおりやおまけなどを付けるのも楽しいです」という文に目が止まってしまった。
値札つけよりもそっちの準備の方が楽しそうなのである。
そうなると、もう止められない。
数日前から庭で拾って「押し葉」にしておいたきれいなサクラの落ち葉を、しおりに仕立てることを思いついた。
そうして、値札付けはそっのけで作ったのが、本にはさむ下の写真のような栞たち。
作り方は、わりと簡単。
色西洋紙に押し葉をのせ、上からブックフィルムでコーティングして、クラフトはさみで周りをぎざぎざに切り取り、穴をあけてリボンをつけただけ。
きれいな落ち葉が手に入る今だからできる季節物。
しかし、これだけでは物足りないため、裏に名言を書くことにした。
とは言っても、自分のノーミソから名言をひねり出すのは難しいので、板倉清宣さんがまとめた『発想法カルタ』(仮説社)という本の中から、自分なりに気に入っているものを使わせてもらうことにした。
板倉清宣さんは、《仮説実験授業》の生みの親で、残念ながら今年二月に亡くなられるまで、精力的に「科学する楽しさ」や「根源的に考えることの大切さ」を世に広められた方である。
その方が「ことわざ的な発想の面白さを生活に生かして楽しもう」「一つのことにとらわれない自由な発想の仕方ができると楽になるよ」と考え、日ごろ重視している感え方・発想の仕方をまとめたものが、『発想法カルタ』だ。
自分もこの中の言葉にずいぶん教えられ、助けられたような気がする。
これを作りながら、我ながら良い「おまけ」ができたと自画自賛。
ただ、後の作業は明日以降になってしまった。
11月3日は、この本をはじめ板倉さんの本も多数販売するつもりなので、たくさんの人が訪れてくれることを願っている。
ラベル:本・コミック