「おせったい」とは、弘法大師信仰から生まれた風習・行事で、旧暦3月と7月の21日に大師の像をまつり、参拝に訪れる人はだれにでも菓子やモチ等を振舞い接待することをいう。
この風習は大分県や山口県で見られるらしく、移住者の自分には初めての経験だ。
「おせったい」を行っているウチは、目印に赤い旗や白い旗を立てて参拝者を待っていてくれる。
大抵は、縁側に据えられた弘法大師様の像を庭先から拝ませてもらい、お賽銭をあげて、かわりに「おせったい菓子」を頂く。
自分も10軒近くを回り、袋いっぱいのお菓子を頂いて来た。
その「おせったい菓子」として、昔から参拝者に振舞われてきた定番中の定番が「めがね菓子」だ。
「めがね菓子」とは、小麦粉、砂糖、水あめなどを練り合わせて焼いた素朴な焼き菓子で、眼鏡のように丸い輪の形にして焼き上げてあるため、この名がついている。
地元では「おせったい菓子」と呼ばれ、この時期スーパーなどでも大袋に入ったものがたくさん積んで売られている。
自分も初めて食べたが、噛むほどに甘みが感じられる素朴な味わいの菓子であった。
この日は、小学校も始業時間を数時間繰り下げて、小学生もおせったいに参加できるように計らっている学校が少なくない。
子どもたちは、大きな袋を持って、自転車や徒歩でおせったいをしてくれる家々を回り、大量のお菓子をゲットしていた。
平日なので、おウチにおじいちゃんやおばあちゃん等がいるところは、車でたくさんの家々を回ってくることも可能だ。
そういう子は、かなりたくさんのお菓子を手にすることになる。
学校は半分しかないし、お菓子は手に入るし、子どもたちにとっては、実に夢のような日なのだ。
本堂脇に巨大な弘法大師の像の立つ「椿光寺」等がある真玉地区には、毎年車が列をなして参拝者が訪れるそうだ。
そこで、地区以外からくる参拝者にも分かりやすいようにと、その地域にあるたくさんのおせったい場所を記した「真玉地区おせったいマップ」なるものも作られ配られていたもようだ。
当初、雨の予報が出ていたので、雨の中を回るのはおっくうだなと思っていたが、幸い雨も上がり気温もほどほどだったため、とても回りやすかった。
訪れる先々で、実に気持ちの良い笑顔で歓迎していただいたので、来年も今度は別の地区を回ってみたい。