黒津崎という岬から南北に延びる白砂青松のその海岸は、海水浴場として有名で、ホテルや「道の駅」なども近い。
以前にも訪れたことがあったが、今回の黒津崎海岸訪問の一番の目的は、砂浜に砂鉄が溜まっている様子を観察し、実際にその砂鉄を採集することにあった。
せっかく海へ行くので、コンディションがよければ泳ごうかなと思っていたが、近づいている台風の余波だろうか、若干波が高くて水も濁っていたので、泳ぐのはやめておいた。
かわりに岩場と砂浜で、心ゆくまで観察・採集を行った。
引き潮だったために砂浜が広く現れており、そこに黒々と砂鉄の堆積した浜が向こうまで続いていた。
表面だけかと思って、黒い砂を手で掻いてみると、下の方まで黒い砂が続いている。
そういえば、その辺りでカニが掘った巣穴から運び出した小さな砂の塊も全部黒い。
カニが巣穴から掻き出した砂が全部黒いということは、ずいぶん下の方まで黒い砂鉄が堆積しているということだ。
「黒津崎」という名前も、このふんだんにある黒い砂鉄の黒さから来ているのかもしれない。
砂浜の普通の白砂と砂鉄を比べてみたら、この手で掻き集めただけの砂鉄の黒さが分かってもらえるだろう。
この砂鉄は、この黒津崎海岸だけで見られるのではなく、国東半島の海岸では普通の光景のようだ。
それで、ここ国東半島では、古代からこの砂鉄を使って「たたら製鉄」が盛んだったらしい。
この砂鉄と木炭等を使って、昔ながらの鉄作りを再現しようというプロジェクトも行われたようである。
ちょうど海水浴に訪れていた地元の方に砂鉄のことを訊ねてみると、「以前はこの砂鉄を集めて売る商売があったよ」と教えてくれた。
立派に商売として成り立つくらいの砂鉄の量があり、人件費もそう嵩まずに砂鉄を採集できる環境が揃っていたということだ。
たくさんあるので、今後教室等で使うこともあるだろうと、レジ袋に半分程の砂鉄を集めて持って帰ってきた。
他にも、海に来ると必ず拾う「流木」と、少しだけ打ちあがっていた「シーグラス」も、戦利品として持ち帰って来た。
これだけの収穫があれば、泳がなくても海岸に来た甲斐があったというものだ。
他にも、この「黒津崎海岸」には、「おしり岩」という割と有名な大岩があるので、それを見に行った。
人も多くなくて、砂浜も岩場もあり、いろいろと多様な楽しみ方ができるこの海岸は、海遊びにお勧めだ。
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なんと言っても国東と言えば、
豊後行平ですね。