その石橋は福厳寺というお寺の境内にあり、石像がたくさん安置してある岩窟に続く参道への登り口にかかるアーチ橋だ。
この橋を見るために、福厳寺の駐車場に車を停めて、境内に入っていった。
すると、ちょうど橋の袂で土木作業をしてあった住職さんに出くわした。
挨拶をして訪問の目的を告げると、わざわざ作業の手を止めて、いろいろと案内、説明までしてくださった。
実に気さくで親切な和尚さんだ。
最初に、橋の奥の岩窟「閻魔洞」を案内していただいた。
その岩窟の中には、十王像や不動明王・薬師如来に左右の牛頭・馬頭像の背後に十六羅漢さんが置かれている。
中央の閻魔様がかなり大きく存在感ありありだ。
和尚さんの話では、この岩窟への参道にかかるアーチ橋の拱環石は、十六羅漢さんの数と同数の16枚にしてあるのだそう…。
だからか、このアーチ橋は「羅漢橋」なんだと…。
また、このアーチ橋の下には、山水をひいて「三途の川」に見立てた小さな溜まりが設えてある。
その溜水には、鯉が数匹気持ちよさそうに泳いでいた。
「三途の川」は死者しか渡らないため、生者がこの「羅漢橋」を渡らないように配慮してあった。
そのため、この石像たくさんの岩窟に向かうには、橋の左側に設えられた小道を上がっていかなければならない。
お寺は400年からの歴史があるとのことだったので、この橋も相当古そうだ。
「いんない石橋マップ」には「江戸末期の作」とだけ出ていたが、石の朽ちた感じからするともっと古いような気もする。
一通り説明していただいた後で、じっくりと石橋を観察した。
こんなに間近で石組を見たり触ったりできるところは、そう多くはないので、貴重な体験だ。
端の幅=拱環石の長さが1m足らずだが、これだけの長さのものを16枚隙間なく組み上げるのはさぞ苦労しただろう。
この辺りで採れる石材(凝灰岩)は脆いそうで、石橋のいたるところが欠けたり擦り減ったりしていた。
それも味わいだが、そのうち崩れないか心配だ。
最後に、「昨日石を探している時に、サンショウウオ見つけた」といって、その石の所まで案内していただいた。
石を持ち上げると、まだ冬眠中のオオイタサンショウウオ発見!
オオサンショウウオの生息地もそう遠くない所にあるそうなので、院内は自然豊かな所だ。。
きれいな湧き水があちらこちらに沁み出してきているから生息していけるのだろう。
石橋以外にも、いろんなものに遭遇できたので、とても有意義な石橋探訪だった。
ラベル:石橋
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